6、パルコン板「コンクリート打設」
中間検査を乗り越えた鉄筋たちは、コンベアで運ばれていよいよコンクリートの打設に入っていきます。
定位置に止まった後、打設機からスランプ値の高い硬いコンクリートがボタボタと落ちていきます。流動性はなく、ホントにあの滑らかなパルコン板が出来るのだろうか?と思いきや、台車が少し低くなったかと思うと「ブィ〜ン」という音と共にコンクリートの塊は融けるように平らになっていきました。これが、超感動のバイブレータです。細かな振動でスランプ値の高いコンクリートが均一になり、また、内部の気泡も抜けていきます。
「ブィ〜ン♪」とバイブレーターが振動しているときにH野工場長、ニンマリとして「どうぞ、足を乗せてみてください」とおっしゃった。恐る恐るバイブレーターに足を乗せてみると、本当に細かい振動ということが分かる。骨が砕けるような振動でないのにホッと一安心。それにしても、H野工場長は打設機の説明中、ずっと足を乗せておられたが、よほど気持ちが良かったのでしょうか……?
ちなみに、このコンクリートは太平洋セメントのものを使っており、混ぜ合わせる骨材は「アサノライト」という人工軽量骨材を使用しております。それで軽量化を図るんですね。
打設機からスランプ値の高いコンクリートが
ボタボタと流し込まれる。すでに硬そうです
バイブレーターを振動させながらスコップで
均していきます。短時間でできるのです
そんなワケでお待ちかね(?)の動画集です。バイブレーターの音がありますのでボリュームMAXでお楽しみください!それにしても、工場の中で動画にして面白い動きがあるのは、ここと次工程の仕上げ機でしょうね。
・打設機から硬いコンクリートがボタボタ流しこまれている所です→【動画1(896.6KB)】
・バイブレーターで振動させながらスコップで均している所です→【動画2(618.8KB)】
・H野工場長が実演する「体感バイブレーター!」→【動画3(366.0KB)】
・気泡が抜けていくところのアップです。分かりますか〜?→【動画4(835.5KB)】
こうして、もっと綺麗にする仕上機に送られていきます。
7、パルコン板「仕上機」
打設が完了すると、表面を仕上ていきます。大きなコテが左右にガンガン動く仕上機を通し、更に数人の職人さんが大きめのコテで仕上ていきます。機械と人間のコラボレーションです(?)
これが終わると蒸気養生ですが、残念ながらこの時は養生槽がトラブルを起こし、撮影不可能でした。仕上機や養生待ちのスペースは養生の都合か非常に蒸し暑く、冬でも半袖で作業されていました。夏場はもう地獄だそうです。
これが仕上機で台車ごと通していきます。
中央の大きなコテが左右に動いて均します
養生待ちの未熟児のパルコン板です。
表面も真っ平らに仕上がって綺麗です
更に更にここで動画コーナーです。仕上機と人間のコラボレーションをボリュームMAXでお楽しみください。
・打設が終了し、仕上機を通ってパルコン板が出てくる所です→【動画1(1.3MB)】
・これぞ仕上機と人間様のコラボレーション!→【動画2(1008.7KB)】
8、パルコン板「ストックヤードで自然養生」
養生が終わって、2週間ほどの自然養生に入ります。
工場の隣のストックヤードに壁板とスラブ板ごとに分けて、ゆっくりと養生されます。
スラブ板の養生は平積みでなされますが、直接地面に置くわけにもいかないので、昔の規格住宅時代のパルコンで使っていたスラブ板を下に敷いております。H野工場長曰く「勿体ないから有効活用です」とのこと。モノが溢れて「捨てる時代」の今日に於いて、ハッキリ言って「エライ!」です。
そして最後に、H野工場長サン、ヤリ手営業Tと共に「こつをサンのパルコン板の場所も空けてありますので……」と契約前のワタクシにダメ押しのセールストークをブチかましてくれました。う〜ん、これは埋めてあげねば!
壁板のストックヤードです。ご覧の
通り立てかけて養生していきます
こちらはスラブ板のストックヤードです。
平積みで養生しますが、下にあるのは
規格住宅時代のスラブ板の再利用
Switchで使われる打ち放し面に当たる部分は、過去に雨染みなどで汚れてしまったという甘酸っぱい思い出があるようで、それを回避するために打ち放しの壁板に至っては、屋根を設けてあります。ナントもイイ身分です。
雨の多い富山県で屋根つきストックヤードです
打放し壁の分際でチヤホヤされています
こうして、2週間の自然養生期間を経て、雨の日も風の日も共に耐え抜いたパルコン板たちは、この北陸プレハブ株式会社から各現場へ巣立っていくのでした。
9、パルコン板「品質管理について」
さて、プレキャストコンクリートパネルは工場での一貫生産ということで、品質管理がシッカリしている筈。最後に、技術室に案内していただき、そこら辺をまとめさせていただきました。
まずは、毎日、実際に打設するコンクリートでテストピースを作り、パルコン板と全く同じ環境で同じ期間、養生します。それで最後に強度試験を行って、パルコン板に使われたコンクリートと同じコンクリートの強度を調べるってワケですね。それにしても、沢山テストピースが作られていました。
同じ日にいくつかのテストピースを作っているようです
2週間、自然養生するので数も沢山あります
そして、工場の入り口には「品質方針」が掲示されていました。まず、「品質方針」は、
・品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善を行い、顧客の信頼を得られる製品の提供を目指す
……とあり、「年度品質目標」は、
一、顧客のクレーム低減を図る
二、工程内不適合品の低減を図る
三、顧客情報の厳正な管理を行う
四、製造原価の低減を図る
……だそうです。最後の製造原価のことは、坪単価が割高なPalconにしては嬉しいことですね。そして、その横には、従業員の名前がズラリとあり、取得している資格一覧が掲示されています。これで各人がスキルアップを目指し、より良いパルコン板を作ろうという立派な工場でした。
それと、最後の品質検査を通ったものには「合格」の太鼓判が押されております。
品質方針が掲示されております
我が家の全パルコン板に押されていた「合格」の印
こうして、Palconに対しての安心感を深めて北陸プレハブ株式会社を後にしたのでした。皆さんも一度パルコン板製造工場を見学されることをオススメします。