4、パルコン板製造工程ライン
まず、工場に入る前にパルコン板の大体の製造工程ラインを見ておきましょう。下の図が、北陸プレハブ株式会社の工場のレイアウトを私流に簡略化したものです。
毎日の作業は、まず前日に養生槽に入れて一晩、蒸気養生を済ませたパルコン板を取り出すところから始まります。それが右上の「脱型」の工程です。それから型枠を掃除して新しい板を作る準備に入っていきます。
それでは、まず脱型から見ていきましょう。
5、パルコン板「脱型」
それでは、前述通り、前日に養生槽に入れたパルコン板を型から外します。これを「脱型」と言うようですね。
まずは、養生槽を出た所でボルトなどを緩めています。窓枠などの枠を外しているようですね。
養生槽を出た所。ボルトを外しています
そしたら、コンベアのようなもので台車は移動し、スラブ板の脱型場所を通ります、スラブ板はここで外され、壁板はスルーしていきます。
スラブ板は平らに積んで行くので、そういう状態でトラックに積み込み、工場の外のストックヤードまで運んでいきます。
スラブ板はご覧の通り、バキューム(真空)式でクレーンに吊り下げられます。ただ、幅の狭いものでバキューム出来ないものは、フックでひっかけて吊るします。
ただ、なんせコンクリートの塊なので、剥離剤を塗っていてもひっかかって外れないことがあります。そんなときは、台車を大きな木槌で「ガンッ!」と叩くと「ガポッ!」と綺麗に取れてしまいます。その大胆さに唖然としました。
これがスラブ板を吊るすバキューム式のクレーン。
右におられるのは懇切丁寧な説明のH野工場長
工場内でトラックに載せていきます。
手前には脱型待ちのスラブ板が……
スルーした壁板に関しては、隣で立てかけられて外していきます。そして、立てかけたまま養生していきます。
この日は、打ち放しの壁を外していました。打ち放しの「木コン模様」はワザワザ、オセロの石のような丸いプラスチックを打設前に配置してつけておりました。
壁板は向こうからこっちに流れ、手前のフックで
ひっかけられて、台車ごと起き上がってきます
台車が起き上がったところ。型に白く点々
とあるのが木コン模様をつけるプラスチック
壁板が外れると台車は清掃ラインに。
ここで検査などをおこなっていきます
出来立てホヤホヤの打ち放し面です。
まだ木コン模様用のプラスチックが……
5、パルコン板「部品取付及び配筋」
脱型してから念入りに型枠を掃除し、注文通りの大きさの型枠を付けたら、いよいよ部品をつけたり鉄筋を組んでいきます。
いきなり型枠の中で鉄筋を組んでいくのではなく、あらかじめ組立ヤードにて組んでおきます。メッシュ筋に関しては、ここで溶接するのではなく、外注にて仕入れているそうです。
見ていくと、建て方で初お目見えするパルコン板を見ただけでは分からない、複雑な内部構造をしているのだと分かります。パルコン板発注段階でスイッチやコンセントの位置などを念入りにチェックするのは、この段階でそれらの配管やボックスを配置するからですね。また、場所に応じて厳密に鉄筋の太さが違っていることや、開口部や板の周囲には補強の鉄筋が組み込まれていることがわかりました。
黙々と設計図に沿って部品を付けていきます
白いのはスペーサー。シース管や配管も見えます
ダブル背筋です。周辺は補強の鉄筋があります。
シース管両端には「スパイラル筋」という補強が…
仕上がったものからラインの脇に積んでいきます
型枠に数名で鉄筋をはめ込んでいきます
配筋されたもの。コンセントのボックスには
コンクリが入らないようにカバーがあります
皆さん、本当に黙々と真剣にやっておられました。鉄筋を組んだり部品を取り付ける部署は、なぜかヘルメットとエプロンをつけた女性が多かったように思います。男性より作業が丁寧なんでしょうね(笑)。
パルコン板1枚につき2枚のCADによって作られた設計図がついて、それを見ながらやっていきます。確か1枚がメッシュの間隔を記したもので、もう1枚が部品を記述したものだったような……(焦)。
これで部品の取り付けが終わったものからコンクリートを打設していくのですが、その前にキチンと窓の位置や部品の位置、使われている鉄筋の種類や間隔などを厳密にチェックする中間検査を通ります。コンクリートを入れてしまったら、それこそブラックボックスですからね。そんなワケで工場生産ならではの安定した品質を維持するために中間検査を行います。